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「遺」言によって自分の財産を誰かに「贈」与する行為を遺贈(いぞう)といいます。
生前に行う財産の譲渡は贈与ですが、遺贈は遺言書に則って遺言者の死後に行われます。
譲渡する相手(受遺者)は法定相続人を指定することもできますし、相続人でない人を指定することもできます。
また、個人に限らず、特定の団体を指定することもできます。
例えば、動物の保護活動などの社会貢献活動を行うNPOに、寄付という形で、死後財産を譲渡することもできるのです。
生前に行う寄付と違う点は、現在の手元の資産には影響なく、亡くなった後に残った財産を贈るので、自分の老後資金などを気にする必要がありません。
そういった意味で、最後の社会貢献として遺贈を行う方もいらっしゃいます。
このような相続人以外の人や団体に、亡くなった後財産を渡したいと思ったら、遺言書を遺すしかありませんので、必ず遺贈によって贈ることになります。
☆遺贈については下記のページでも解説していますので、併せてご参照ください。
しかしながら、遺贈には種類があり、適切に行わないと、時には受け取る人にとって正しく遺志が伝わらないこともありますので事前にしっかり準備が必要です。
ここでは遺贈の種類とその違い、注意点を詳しく解説します。
●包括遺贈と特定遺贈
遺贈には、大きく分けて「包括遺贈」と「特定遺贈」という二つの種類があります。
詳細を解説する前にざっくりと言うと、
包括遺贈は、財産のうちの「どれ」を譲渡する、という具体的な指定ではなく、財産の「すべて」あるいは「何%」を譲渡する、という割合に依った遺贈のことです。
一方、特定遺贈は財産のうちの「特定のこの財産」を譲渡する、という、具体的に指定した特定の財産についての遺贈です。
以下に詳しく解説していきます。
包括遺贈は、財産を一定の割合で分割して譲渡する遺贈です。
具体的には以下のようなパターンがあります。
・遺言者の財産のすべてを受遺者Aに遺贈する(全部包括遺贈)。
・遺言者の財産を受遺者Aと受遺者Bにそれぞれ二分の一の割合で遺贈する。
・遺言者の財産のうち三分の一を受遺者Aに遺贈し、残りを法定相続分で相続人に相続させる。
・遺言者の財産のうち特定の財産(不動産等)を相続人Zに相続させ、残りの財産のすべてを受遺者Aに遺贈する。
このように、財産のすべて、または財産のうちの一定の割合を指定して遺贈することができます。
財産のすべてを遺贈することを全部包括遺贈、割合を指定して遺贈することを割合的包括遺贈といいます。
また、遺産を売却し、売却代金につき、〇分の1の割合で遺贈する、といった清算型包括遺贈のパターンもあります。
ですので、もし遺言書を書いた時点から亡くなるまでに財産の総量に変動があった場合でも、割合に基づいて分配をすることができます。
包括遺贈によって遺贈を受けた人を包括受遺者(ほうかつじゅいしゃ)といいます。
包括受遺者は、 法律上、基本的に相続人と同一に扱われますので、相続人と同様、相続財産のすべてについて調査した上、具体的な分け方について協議に参加する必要があります。
(参照 民法990条 包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。)
これが特定遺贈と決定的に異なる点です。
特に受遺者と他の相続人に交流がなかった場合、必ずしもスムーズに協議が進むとは限らないため遺言書の内容には配慮が必要です。
包括遺贈の要注意点が、借金などの負の財産についても譲渡されるという点です。
全財産のうち三分の一を遺贈すると指定されていたなら、プラスの財産の三分の一、同時にもし借金があれば借金についてもその三分の一が譲渡されることになります。
通常の相続と同様に、マイナスの財産の部分だけは受け取らない、ということはできません。
受遺者として指定されていた時、何も考えずに受け取ってしまうと、遺言者も忘れているような借金や、管理に困るような不動産などもうっかり引き継いでしまうということもありえますので、その点については慎重になったほうがよいでしょう。
受遺者が財産を受け取りたくない場合、放棄することもできます。
ただし、包括遺贈の場合は、この点も通常の相続と同様で、放棄の期限が相続開始を知ったときから3カ月以内と定められています。
遺贈放棄は、遺言者の住民票上の最後の住所を管轄する家庭裁判所に申し立てを行います。
包括遺贈放棄申述の申立書ほか、戸籍等必要書類を集めなくてはならず、3カ月の期限は意外と短いため、少しでも不安があれば司法書士等の専門家に依頼し任せたほうがよいでしょう。
事前の申し立てにより期限の伸長をすることもできます。
相続の場合は、法定相続人のうち誰かが相続放棄をした場合、放棄された分の財産を含めて、改めて他の相続人で分配されます。
しかし、包括遺贈での受贈では、相続人の誰かが相続放棄をしても、その分受け取れる金額が増えるということはありません。
他の相続人の行為にかかわらず、遺言書に記載された全体についての指定割合で分配されます。
以上の点をふまえると、包括遺贈だと、もし突然団体への寄付の意図などで受遺者に指定した場合、遺産分割協議への参加義務や、マイナスの財産がないかの懸念等、時として逆に負担を強いてしまうこともありえます。
よかれと思って行った意図が伝わらないということにならないよう、遺言書の内容には繊細な配慮が必要でしょう。
特定遺贈はその名の通り、特定の財産を指定して譲渡する遺贈です。
特定遺贈遺贈では遺贈する財産を具体的に指定します。
・××株式会社の株式〇〇株を受遺者Aに遺贈する。
・〇区〇丁目〇番の土地を受遺者Aに、
〇区〇丁目〇番地 家屋番号〇番の建物を受遺者Bに遺贈する。
・××銀行普通預金 口座番号〇〇〇〇の預金を受遺者Aに遺贈する。
・車(車種、ナンバー)を受遺者Aに遺贈する。
といった内容です。
特定遺贈では、遺言書で指定された財産のみで完結します。
遺産分割協議は特定遺贈で譲渡された財産以外の残りの財産について行われますので、受遺者は(受遺者自身が元々相続人でないかぎり)遺産分割協議には参加しません。
前述のとおり、指定された財産以外のことには一切引き継ぐ義務はありませんので、マイナスの財産を引き継いでしまう心配は基本的にはありません。
ただし、遺贈された不動産が価値がつかず、また管理も難しいような「負の不動産」である可能性がないわけではありませんので、いずれにせよしっかり調査は必要です。
包括遺贈と異なり、特定遺贈の放棄には期限がなく、定められた申し立ても必要ありません。
つまり、いつでも放棄することができます。
放棄する旨を相続人に口頭で伝えるだけでもよいとされていますが、のちのちのトラブルを避けるため、書面で取り交わしたほうがよいでしょう。
上記のとおり、放棄の期限がないとはいえ、受遺者がその財産を受け取るかどうかで他の相続人の遺産分割に影響が出てしまいます。
そういった場合、相続人は受遺者に対して遺贈を承認するか放棄するかの決定を促す催告を行うことができます。
ここで定めた期間内に意思決定がない場合、受遺者は特定遺贈の内容を承諾したものとみなされます。(民法987条)
特定遺贈で譲渡できる財産はあくまでも遺言書で記載したもののみですので、もし遺言書を書いてから亡くなるまでの間に遺言書の資産がものすごく増えていたとしても、現金500万円と指定されていたらそれ以上にはなりません。
逆に、不動産を手放してしまっていたり、有価証券を換金してしまっていたりと、指定したものが消滅、または代替のものに形を変えてしまっていたら、その財産を受け取ることはできません。
これらを考慮すると、特定遺贈は受遺者にとっては負担の少ない、受け取りやすい遺贈の方法であるとも言えます。
ただし、譲渡する財産が具体的であるため、亡くなるまでに価値が変わったり、無くなってしまったりということがありえることには留意が必要です。
遺言者がまだ元気なうちに早めの準備をと考えるのは素晴らしいことなのですが、その後の財産の内容の変動は気にかけておかなくてはなりません。
☆包括遺贈と特定遺贈、それぞれのメリット
【包括遺贈】
・遺言書を書いてから亡くなるまでの間に財産の増減があっても一定の割合で譲渡することができる
・受遺者が遺産分割協議に参加し自分の希望を伝えることができる
【特定遺贈】
・渡す財産がわかりやすく、マイナスの財産を引き継ぐ心配がない
・遺産分割協議に参加しないため、揉めにくい
・放棄に期限がない
☆デメリット
【包括遺贈】
・財産の全体像がわかりにくい場合があり、マイナスの財産を引き継ぐ可能性がある
・放棄をする場合、三か月以内に申し立てをしなくてはならない
・遺産分割協議によって相続人と揉める可能性がある
【特定遺贈】
・財産の増減があった場合、遺贈したい財産が消滅していたり、大きく価値が変わっていたりする可能性がある
・遺言書に正確な記載が求められるため、遺言者の細かな準備が必須
このように一口に遺贈と言っても、ケースバイケースで適切な方法を選び、どの方法をとるにしてもしっかりと準備が必要です。
当事務所では、遺言についてのご相談や、遺言書の作成サポートも行っています。
(以下のページもぜひご参照ください。)
人生の最後の社会貢献や、親しい方に感謝の気持ちを伝えることができる仕組みですので、信頼できる司法書士のサポートのもと、
安心して万全な遺言書を遺せるよう準備することをおすすめします。ぜひお気軽にご相談ください。
まずは一度、当事務所(習志野市の津田沼・千葉相続相談室。司法書士法人LEGALMOT(リーガルモット))へご相談ください。
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