死後の手続きを信頼できる人に託す!死後事務委任契約
死後事務委任契約とは、
存命のうちに、自分が「死」んだ「後」に必要となる様々な「事務」処理を信頼できる人に「委任」する契約のことです。
具体的な死後事務の内容としては、例えば以下のようなものがあります。
・葬儀の手配、納骨
・お墓の管理
・家財道具の処理、家の片付け
・遺品整理
・SNSの情報の削除
・その他様々な手続き...
現在の日本では、孤独死が年々増加しており、全国の孤独死の3分の1は東京23区で発生しているとも言われております(2017年厚生労働省「人口動態統計」より)。
そのため、家族が自分が亡くなった後の手続きをしてくれることが期待できない場合、誰かに死後事務委任したいニーズは高まっているといえます。
ここでは、専門的な理論は省略しますが、一言で言うと、
民法653条と平成4年9月22日最高裁判決を根拠に、
死後事務委任契約は有効であると考えられます。
では、遺言書があれば、死後事務委任契約を作成する必要はないのでしょうか。
答えは、NO!です。
なぜなら、遺言書には、一定の法定事項しか記載できないからです。
例えば、「死後の納骨の手続きを長男に委任します」といった記載があっても無効となります。
死後事務委任契約は、委任契約であり、委任契約は口頭でも成立します。
つまり、法律上、死後事務委任契約は口頭でも成立します。
もっとも、口約束は言った言わないのトラブルの元になりますので、
書面で契約すること、さらにできれば公正証書で作成することが望ましいです。
死後事務委任契約にかかる費用には、以下のようなものがあります。
【費用のめやす】
※あくまでも目安であり、専門家や委任する内容によって費用は異なります。
①公証役場への手数料(公正証書の場合)1.4万円~
②司法書士等の専門家への作成手数料 10万円~
③専門家が受任者になる場合の報酬 50万円~
死後事務委任契約によって委任できる事項は、以下の2つの要件を満たしている必要があります。
①遺言事項に該当しないこと
②法令上行える資格が限定されていない事務であること
①の遺言事項に該当するものについては、必ず法律で定められた厳格なルールによる遺言書で定める必要があります。
②士業の独占業務(弁護士、司法書士、税理士等)について、委任事項として定めたとしても、受任者が委任事項の士業の専門家でない限り、業務を行うことができません。
告別式等の依頼先が決まっている場合は、その寺院の名称、連絡先などを記載します。注意点は、あまり細かく指定しすぎないことです。理由は、依頼先の寺院が要望通りに対応してくれないことがあるからです。
委任事項に遺体の引き取りが記載されていれば、受任者において引き取りが可能になります。遺体の引き取りと火葬・埋葬はいわばセットですので、火葬・埋葬もあわせて委任事項にしておきましょう。
ご存じでない方も多いかもしれませんが、火葬や・埋葬については墓埋法(墓地、埋葬等に関する法律)に規定があるので、法律に抵触しないようにする必要があります。
例えば、死後24時間以内の埋葬を禁止しています(同法3条)。
また、「土葬」については、禁止している地域が多いため、もし土葬を希望する場合は禁止区域でないかをあらかじめ調査する必要があります。
例えば「生前に発生した一切の債務」といった包括的な定めはお勧めしません。
なぜなら、想定外の巨額の債務等が判明した場合にこれらについても対応しないといけなくなるからです。これらは、死後事務委任契約の受任者ではなく相続人が対応すべき問題と考えます。
そのため、「未払医療費」「公共料金」等、範囲を限定して定めるとよいでしょう。
相続人が一人もいない場合や、当初相続人がいても全員相続放棄をすることによって結果的に相続人がいなくなったケースなどは、相続財産管理人を選任してそちらに丸投げした方がよいケースもあります。
そして、死後事務委任契約の受任者も「利害関係人」の立場で相続財産管理人の選任申立ができます、
そのため、委任事項に相続財産管理人の選任も入れておくとよいでしょう。
死後事務委任契約についてご説明しましたが、ここに載せているものは基本的な部分にすぎません。
しっかりとした精度の高い死後事務委任契約書を作成したい方は、
当事務所(津田沼・千葉相続相談室。LEGALMOT(リーガルモット)司法書士事務所)のような相続に強い専門家に相談されることをお勧めします。